Sara Ouhaddou Interview
bySara Ouhaddou 03/09/2018

STORYストーリー

Sara Ouhaddou
聞き手:堀内奈穂子、東海林慎太郎
収録:2018年2月14日 代官山AITルーム

1986年、フランス、パリでモロッコの伝統的な家系に生まれ、モロッコとフランス両国の文化背景を持つアーティストのサラ・オウハッドウに、自身のルーツであるモロッコの話や日本でのリサーチについて聞いた。

モロッコの公用語の一つであるアラビア語ではなくフランス語を話すオウハッドウは、まず、言語とアイデンティティへの繋がりに興味が湧いたという。L’appartement 22のレジデンス・プログラムでは、祖先が暮らしていたサハラ砂漠で彼らが使用していた言語のルーツを探った。このリサーチで、彼らが文字ではなく「シンボルとサイン」でコミュニケーションを取っていたことを知り、そこで「Dictionary with no name」というプロジェクトを行った。* モロッコでは、アラビア語のほかに、今日でも日常語として使用されているベルベル語があるが、彼らは文字を使用していなかったため、イスラム文化の伝来とともに衰退していった経緯がある。オウハッドウは、こうした背景から、このレジデンス・プログラムで滞在中は、中国より日本に伝来した「漢字」について興味を持ち、自身が行ってきたモロッコでのプロジェクトと比較しながら、日本語の歴史を軸にしたリサーチをはじめている。

滞在中、彼女は目黒区にある「日本民藝館」でひとつの作品に出会う。青森県・津軽地方の伝統工芸「こぎん刺し」が施された着物が、モロッコの伝統的な文様とほぼ同じだったことに着目し、実際に青森まで出向いた。そこでは、(繊細で美しい幾何学模様が施された)「こぎん刺し」の技法を熱心に観察、自身も試しながら人々との交流を行った。厳しい寒さなど、生活環境から紡ぎ出される日用品には素晴らしい芸術性が見られ、モロッコ文化との共通性を見出すことができたと語る。

東京に戻ったオウハッドウは、都内の陶芸工房の一角で制作を行っている。日本語に触れながら、身振り手振りで工房のスタッフらとコミュニケーションを取っていると、一人で制作していたはずの作品が、いつの間にか彼らとの共同制作になってることに新鮮な感覚を覚えているという。

またオウハッドウは、この滞在で日常の様々な音を録音しており、青森の視察中にも「こぎん刺し」を体験している様子や、ねぷた祭りの太鼓や三味線の音、陶芸工房の音などを収集している。本ラジオプログラムでは、こうしたフィールド・レコーディングとモロッコ音楽や言語など、自身の文化をミックスした音源を発表予定。

*2017年6月より、織物の中に見られるシンボルやサインなどを複数の部族から集めたプロジェクト。

AIT asks Sara Ouhaddou, the current artist in residence, about her interest seen in her continuous research to explore on how traditional crafts are expressed today. Ouhaddou is also working at a ceramic workshop in Tokyo and also tells us about her art production and how she is enjoying the interactions with others.

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